∞の庵

5人しかいないけれど、5人がいる

もしもイフオアでまた会えたら…

村上信五の一人舞台「If or…X」のDVDがやってきた。
ゆっくりできるまでの楽しみとして机に置いていたが
何をしても気になり、開けたりひっくり返したりして
まるで熟成・醸造しているかのように大切に寝かせ
ようやく先日再生した。

www.j-storm.co.jp


これを見れば「If or…」が本当に終わってしまうのだとも思っていたので
すぐにあけることができなかったのも本音。
本編でしんちゃんの美しい殺陣をじっくりと追いながら
振り下ろした切っ先に描かれた「X」を見るたびぞくぞくしたが
小気味よく編集された映像に、最初から映像化される予定だったことを思うと
また寂しくなった。

前から友人とは「イフオア、8年目で終わりかもしれない説」を唱え
いざくるその時にショックを受けないよう備えてはきた。
最近ではライブスケジュールが変わってしまったが
1月のツアー後の2月にイフオアを開演させるため
毎年殺人的な業務量をこなしていたであろうしんちゃんを思うと
区切りをつけることに反対の気持ちは全くなかったが
ずっと「見たい、でも心配」の繰り返しだった。

だから今回のことは納得がいったし
感謝と労いの気持ちしか浮かばなかった…はずなのに
こうして手元に作品がやってきて昔からの映像をみると
もう寂しくて寂しくて色んな思いが込みあがってきた。

エイトネタ満載だった初期、
聞いているこちらの方が緊張するほどのピアノ演奏後に
詫びたしんちゃんの挨拶が忘れられない。
このブログにも書いたことがあったが
わざわざ東京から来てくれたタッキーが壇上に上がり
みんなの目線がそちらへ走ると自虐しながらも
それはそれは嬉しそうで、その顔をみてまた嬉しかった。

段々といろんな技術が加わる中
6作目は脚本といい、表現といい、秀逸だったと思う。
笑わせる為の女装ではない、家族への愛情もつまった母を演じ
全てが最後に披露する歌につながると
小林幸子様を模した壮大な舞台装置は私たちを泣き笑いへと誘った。

物語を作る「生みの苦しみ」も存分に味わう中で
自分のやりたいことをやりきったであろうしんちゃんだが
私たちにとっても「見たい村上信五」を存分に堪能させてくれた。
一般に求められていると思っている笑いが多めではあったが
合間でクールに歌い踊るしんちゃんは最高だった。

身内ネタや世相にはしんちゃんらしい直球な突っ込みが入り
ここだから一緒に笑える、という場面も多くて楽しかった。
しんちゃんが同じ時代に同じ話題を見て
何かを感じていることを実感できたし
下世話な話題もしんちゃんらしいポジティブシンキングで
世間にはサラッと見せるところも格好良かった。

今のように冠番組がなく
エイトを見られる機会が少なかったあの頃に
自分がやりたいことをやって見せ続けてくれたことは
私たちにとってはありがたくて、本当に楽しかった。
それが続けられない程に忙しくなったことも嬉しいけれど
自分の表現をもがいてひねり出して見せてくれた時間は
今となれば今の自由にできない冠番組なんかよりずっと
意味のあるいい時間だったのかもしれない…

ヤダ。そう思うと、また寂しい。
また一つ幸せが減ってしまった気がする。
でもしんちゃんは、グローブ座の舞台で座席を背にして
胡坐をかきながらこの10年を振り返り
「また帰ってくる」と言ってくれたからきっと帰ってくる。
しんちゃんってそうゆう人だから。

すぐじゃないけどな、って念押しがリアルで
それならなんとか待てそうだ。

5,500円にこだわり続け、DVDまで同価格にし
「ほしい人だけ、どうぞ」と言わんばかりの予約限定販売。
知っている人だけが楽しめるこの狭さがいいじゃないの。
できれば大好きな6作目のフル映像が欲しかったけれど
しんちゃんの心意気に抗うようだから、もうワガママ言わないわ。

だから、これからイフオアでインプットしたことをアウトプットして
また新しい経験をインプットしたイフオアをいつか見せてね。

だって、私はまだまだプロデュース業じゃなくて
エイト本人が表現する姿が見たいの。

このワガママはどうか許して…