∞の庵

這い上がった先に開けた王道を堂々と行くエイトを追う

泥棒役者の感想書いて日常の幸せについて思う

先日泥棒役者をしがんできました。(2度目を見てきたの意)
やはり好きな映画は2度は見ないと見た気がしないのは
私の精神構造が貧乏性なせいでしょうか、
心に感動をため込まないと満足しないようです。

ここからはネタバレなので
まだこれから映画を見るという方はご自身で退避なさってください。
公開からかなり経つので「つづきを読む」体制はとりません。
そして自分で思うあらすじを纏めながらの感想なので
大変カチコチした内容だと思いますがどうぞご了承ください。


心優しくてどこか気の弱いはじめが泥棒になってしまったのは
決して望んでなったのではなく、断れずに巻き込まれた為。
だが罪を償い、真面目に自分なりに生きていると
可愛い恋人(みさちゃん)ができるという神様からのご褒美がやってきた。
想像以上のその幸せは、はじめが持つのに充分資格があるはずなのに
その大切な人に隠すべきではない自分をだせない弱さから
再び過去の失敗に足をひっぱられる。

泥棒に入ったその豪邸はどこか懐かしさとぬくもりのある家。
だが誰かをすすんで招き入れるわけでもなく、跳ね除けるわけでもなく
ただ変わらずそこにある、だけどどこか寂しげな大きな家。
そこに偶然居合わせた人たちが
はじめを家主の前園俊太郎だと誤解することから
お互いの人生が回り始める。

全員の共通点が「一生懸命生きているのになぜかうまくいかない」人たちで
分不相応な幸せを望んでいるわけではないのに不器用なためうまくいかない。
特に人間関係に難があることが多く
それは自分も相手も信じる気持ちで変わるのに
変わる為の少しの勇気が持てない。

そして同じ空間にいるはずなのに悪役の則男(宮川大輔)は
その中に入ることすら許されないかのように蚊帳の外、いや
棚の中から出られないのが意味深なように思えた。
隠れているのは自分なのにみんなと顔を合わせる機会さえ与えられないのが
心根の違う則男の不幸なように見えたのだ。考えすぎかしら。

奥様とのすれ違いから愛する作品を書けなくなった前園俊太郎と
その作品が心の支えだったはじめがまず出会い、編集者と間違えられる。
そしてその家に怪しい絵画グッズを売りに来た轟(サンタマリア)が
はじめを家主と思い込む。
編集者の奥さん(苗字)ははじめを前園俊太郎と勘違いする上に
前園俊太郎を認知症のお手伝いさんだと思い込む。
そして奥さんという都合のよい苗字が発端となり
彼女をはじめの奥さん(嫁)だと勘違いする前園俊太郎と轟(サンタマリア)…

…この状況の中、ヒヤヒヤしたまま話が進むのだと思い込んでいた私は
思ったより早くにはじめが前園俊太郎ではないことがバレたので驚いた。
まぁ轟が奥さんは不倫相手で前園俊太郎が婚姻届を書いているのだと
思い始めた時点で無理があるなとは思ってはいたけれど。

結局みんなで新しい物語を考えていくのだが
その様子がとにかく微笑ましい。
何か新しいものを複数で作り出す作業は
ひたすらに力を合わせなければならず
その間に結束力も強くなり信頼も生まれるが
そこには損得勘定も利害関係もなくただひたすらに輪が強くなる。

そして強くなった輪の中でお互いのことを心強く思うのに
彼らは単に偶然出会った人たちでそれ以上でもそれ以下でもない。
だがはじめが泥棒だと知った時、轟と奥さんのショックを受けるが
ほんの一瞬の迷いの後、彼らははじめを助けるためにうそを突き通してくれる。
はじめが金庫のカギと同時に彼らの心のカギも開けたと言いたいが
ちょっとした勇気と強さを輪の中で得たのだろう。

いや、やはりはじめが心のカギも開けたのだ。
大好きな絵本の真実を知り、大切なものを守るために体を張って抵抗し
自分をさらけだすはじめを見てみんなが自分なりの正義を出してくれたのだ。

驚くような幸せを得ることもなく
誰もが少しずつ成長して前園邸を出ていく。
きっともうこの家で集まることはないかもしれない寂しさも
またきっと会えるかもしれないという楽しみも
どちらもあるようなないような、それでいいのだと思わせるほどに
それぞれがしっかりとした足取りで。

思いがけない縁が轟とつながり、ユーチューバーですら新しい芸を得る。
だが人の日常とはこれほどささいなもので、それが積み重なっていて
その中から幸せは自分で見つけるものなのだと教えてくれる。
そして幸せになる為には心のカギを開けて少し勇気をだして楽しめばいい、
それでいいのだ。

はじめは家に帰るとみさちゃんに勇気を出して過去の話をするが
みさちゃんはいつ言ってくれるのかと思っていた、と言う。
今の一生懸命誠実に生きているはじめが好きなのだと
当たり前だけど何よりの言葉をくれた。
その幸せを自分のものだと自信を持って言えるはじめであって欲しいと
はじめことマルのはにかんだ笑顔をみて思った。


マル、ステキな映画を見せてくれてありがとう。
私もすさんだ心だけど、そこをかきわけかきわけカギを開いてくれたよ。
日常の幸せは自分が素直に楽しく生きること。
真面目に頑張って過ごして
大好きな人たちと笑っていればそれだけで幸せだね。

メイキングを少しTVで見たけれどワンシーンごとにこだわりがあり
目線が動き、お話が流れる様に工夫されていた。
カメラに映らないように移動する撮影隊は大変だったようだけど
切り貼りした映像ではなくて出演者の動きとつながっていて
本当に物語の中に入ったような美しい画だった。

今度は舞台でマルのはじめくんに会えるのを楽しみにしています。


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